クローゼットの奥の、一度しか着ていないジャケット。読み終えたビジネス書が10冊ほど。子どもが遊ばなくなったおもちゃ。フリマアプリでの販売は、こうした身の回りの不用品から始めるのが、いちばん気軽で、いちばん安全な入口です。
この記事では、メルカリやラクマなどのフリマアプリで不用品を売るときの基本と、その先で「仕入れて売る」ことを考え始めたときに知っておきたい古物商許可や税金の基礎を整理します。具体的な手数料や機能はサービスごとに異なり、変更されることもあるため、それぞれの公式ヘルプで確認してください。
まずは週末1時間で「5品」出品してみる
最初の目標は、売上ではなく、出品から発送までの流れを一通り経験することです。週末に1時間をとり、次の手順で5品を出品してみましょう。
- 売れそうなものを選ぶ(10分):状態が良く、ブランドや型番が分かるもの
- 写真を撮る(20分):明るい場所で、全体、正面、背面、傷や汚れのある箇所を撮影
- 説明文を書く(20分):サイズ、使用期間、状態、付属品、傷の有無を具体的に
- 価格を決める(10分):同じ商品が実際に売れた価格を検索して参考にする
価格を決めるときは、出品中の価格ではなく、売れた価格を見るのがポイントです。また、販売手数料と送料を差し引くと手元にいくら残るのかも、出品前に計算しておきます。手元に残る額が数百円にしかならない場合は、手間に見合うかを考えて、出品しない判断もあり得ます。
出品したら、1週間ほど様子を見ます。閲覧はされているのに売れない場合は、価格か写真に原因があることが多いので、どちらか一方だけを見直します。値下げをするなら、一度に大きく下げるより、少しずつ下げて反応を確かめるほうが、売れた価格の手応えをつかみやすくなります。
トラブルを防ぐ説明文と発送
フリマアプリのトラブルの多くは、「思っていた状態と違う」という行き違いから起こります。説明文では、良い点よりも、傷や汚れ、使用感をはっきり書くことを優先します。写真でも、気になる箇所を隠さず写しておきましょう。
発送は、商品が壊れたり濡れたりしないよう、緩衝材と防水の袋で包みます。サービスが用意している配送方法を使うと、匿名で送れたり、追跡ができたりする場合があります。購入者とのやり取りは、短くても丁寧な言葉で、発送の連絡を忘れずに。どの配送方法が使えるか、料金がいくらかは、サービスの公式ヘルプで確認してください。
出品が禁止されている物があることにも注意が必要です。医薬品、一部の化粧品の小分け品、偽ブランド品などは、法律やサービスの規約で出品が制限されています。迷ったら、規約の禁止出品物の一覧を確認しましょう。
不用品の売却と税金の関係
国税庁の案内によれば、衣類や家具など、自分が生活の中で使っていた物(生活用動産)を売って得た所得は、原則として課税されません。ただし、貴金属や宝石、書画、骨董などで、1個または1組の価額が30万円を超えるものは例外とされています。
一方、売るために仕入れた物を販売して得た利益は、この扱いには当てはまりません。副業として継続的に販売するなら、その所得は確定申告の対象になり得ます。会社員の場合、給与以外の所得が一定額を超えると確定申告が必要になるため、仕入れて売るようになったら、売上と経費の記録を必ず残しておきましょう。判断に迷ったら、税務署に相談するのが確実です。
「仕入れて売る」なら古物商許可を確認する
不用品を売るうちに、「リサイクルショップで安く買って、フリマで売れば利益が出るのでは」と考える人もいるでしょう。ここで知っておきたいのが、古物営業法です。
自分が使っていた物を売るだけなら、古物商の許可は不要とされています。しかし、中古品を仕入れて販売することを繰り返し行う場合は、古物商の許可が必要です。許可の申請は、主な営業所の所在地を管轄する警察署を通じて行います。必要書類や手数料は、都道府県警察のウェブサイトで案内されています。
どこからが「仕入れ」に当たるのか、自分の取引が許可の対象になるのか迷ったら、管轄の警察署に問い合わせるのが確実です。許可なく営業した場合は罰則の対象になり得るため、自己判断で進めないようにしましょう。
不用品販売で身につくこと
不用品の販売は、それ自体の金額は大きくないかもしれません。けれど、写真の撮り方、伝わる説明文、相場の調べ方、丁寧な梱包、購入者とのやり取り。物販に必要な基本が、元手をかけずに一通り身につきます。
家の中の不用品を売り切るころには、自分がこの作業を楽しめるかどうかも分かっているはずです。楽しめるなら次の段階を考え、負担に感じるなら、部屋が片付いたことを成果として区切りをつける。どちらの判断も、実際に手を動かしたからこそできるものです。売れた金額と出品にかかった時間をメモしておけば、判断の材料になります。