商品紹介の文章を書く前に、紙に三つの問いへの答えを書いてみてください。
- この商品を買う前の人は、どんな場面で、何に困っているか
- この商品を使った後、その人の何が変わるか
- その変化を、自分は根拠をもって言えるか
三つ目に答えられないなら、まだ書き始める段階ではありません。文章の上手さは、言えることを分かりやすく伝える技術であって、言えないことを言えるようにする技術ではないからです。
この記事では、副業で自分の商品やサービスを紹介する会社員向けに、LPや商品紹介文で使える文章の基本的な型と、守るべき一線を紹介します。この型を使えば売れる、と約束するものではありません。読み手が誤解なく判断できる文章を書くための土台です。
型1:「場面→困りごと→変化→根拠」
商品紹介の文章は、次の4つの要素で組み立てると、読み手が自分ごととして読みやすくなります。
- 場面:読み手が困っている具体的な状況
- 困りごと:その場面で何が起きているか
- 変化:商品を使うと、何がどう変わるか
- 根拠:なぜそう言えるのか(作り手の経験、中身の一部、利用者の声など)
例として、会議の議事録テンプレートを紹介する文章を書いてみます。
「会議が終わってデスクに戻ると、走り書きのメモを清書するのに毎回30分。決定事項と宿題が混ざって、後から見返しても分かりにくい。このテンプレートは、メモを取る段階から『決定・宿題・保留』の3つの欄に分けて書く形式です。私自身、総務の仕事で週5回の会議の記録を担当していた頃、この形式に変えてから清書の時間がほぼ不要になりました。」
最後の一文が根拠です。自分の体験として言える範囲を、言える言葉で書いています。「誰でも30分短縮」とは書いていません。
場面の描写は、できるだけ具体的にします。「仕事が忙しい人」より「会議が終わってデスクに戻ると」のほうが、読み手は自分の一日の中にその場面を思い浮かべられます。抽象的な言葉が続いたら、自分が実際に見た光景に置き換えられないか考えてみてください。
型2:「向いている人・向いていない人」を並べる
商品紹介の文章には、向いている人と向いていない人を、それぞれ数行ずつ書く欄を設けることをおすすめします。
- 向いている人:会議の記録を任されることが多く、清書に時間がかかっている人
- 向いていない人:会議の録音から自動で議事録を作るツールをすでに使っている人
向いていない人を書くと、買う人が減るように感じるかもしれません。けれど、合わない人に買わせてしまえば、満足されず、返品の相談や悪い評価につながる可能性があります。読み手にとっては、自分が対象かどうかをすぐに判断できるのは親切なことであり、向いている人にとっては「この売り手は正直だ」という安心材料になります。
価格についても、隠さずに早めに示すほうが誠実です。価格を最後まで見せずに期待をあおる書き方は、読み手の時間を奪ううえ、不信感につながりかねません。何が含まれていて何が含まれていないのかも、価格と一緒に明記しておきましょう。
守るべき一線:表現と表示のルール
自分の商品を自分で紹介するとき、あなたは景品表示法でいう広告主の立場にあります。景品表示法は、商品の内容を実際よりも著しく良く見せる表示(優良誤認表示)や、価格などの取引条件を実際よりも著しく有利に見せる表示(有利誤認表示)を禁じています。消費者庁のウェブサイトで、考え方や事例が紹介されています。
商品紹介の文章で、特に注意したい表現は次のようなものです。
- 効果や結果を断定する表現:「必ず」「確実に」「誰でも」
- 根拠のない比較:「No.1」「業界最安」「一番わかりやすい」
- 実態のない値引きの表示:販売実績のない「通常価格」と比べた割引
- 急がせる表現の乱用:実際には期限のない「今だけ」「残りわずか」
また、健康や美容に関わる商品であれば、薬機法など別の法律の規制も関わります。迷ったときは、表現を弱めるのではなく、根拠のあることだけを書く、という原則に立ち返りましょう。
書いた後の推敲は「声に出す」と「人に見せる」
書き終えた文章は、一晩置いてから声に出して読みます。つかえる箇所、言い回しが大げさに聞こえる箇所は、たいてい直すべき箇所です。一文が長すぎて息が続かない箇所も、二つに分けます。専門用語には、初めて読む人向けの一言の説明を添えます。そのうえで、家族や友人など、商品の対象に近い人に読んでもらい、「何の商品か」「誰向けか」「いくらか」を説明してもらいます。三つとも正しく答えられれば、文章は役割を果たしています。答えがずれていたら、その部分の書き方を見直します。
売れる文章の型は、読み手を操るための道具ではありません。読み手が自分にとって必要かどうかを、短い時間で正しく判断できるようにするための道具です。その前提に立てば、型はどんな商品にも応用できる、心強い味方になります。