AIで作った画像を、ブログのアイキャッチやSNSのヘッダー、ココナラのアイコン制作に使う。副業でこうした使い方を考えたとき、真っ先に気になるのは「これ、商用で使っていいの?」という点ではないでしょうか。
先に正直に書いておくと、この問いに一言で答えられる人はいません。使う生成サービスの規約、作り方、使う場面によって判断が変わり、法律の解釈もまだ議論が続いている分野だからです。この記事は法的な助言ではありません。そのうえで、会社員が副業でAI画像を扱うときに「確認すべき場所」と「避けたほうが無難な使い方」を整理します。判断に迷う案件は、弁護士など専門家への相談も選択肢に入れてください。
最初に読むべきは、法律より「サービスの利用規約」
商用利用の可否について、最初の手がかりになるのは、使っている画像生成サービスの利用規約です。確認したいのは次のような項目です。
- 生成した画像を商用目的で使ってよいか
- 無料プランと有料プランで、使える範囲に違いがあるか
- 生成物の権利や利用許諾が、利用者とサービスのどちらにどう定められているか
- クレジット表記(サービス名の記載)が求められているか
- 禁止されている用途(実在人物の画像、特定の分野での利用など)
規約は改定されることがあります。作業を始めた時点の規約をPDFやスクリーンショットで保存し、日付をファイル名に入れておくと、後から「当時はこう書かれていた」と確認できます。保存にかかるのは5分程度です。
また、画像を納品する先にもルールがあります。ストックフォトサイトやクラウドソーシング、コンテンツ販売サービスの中には、AI生成物の扱いを個別に定めているところがあります。出品や応募の前に、そのサービスのガイドラインでAI生成物に関する記載を探してください。依頼主との取引なら、AIを使うことを事前に伝え、了承を得ておくのが誠実なやり方です。
他人の権利を侵さないための線引き
規約上は商用利用が認められていても、出来上がった画像が他人の権利を侵してしまえば問題になり得ます。日本では、文化審議会著作権分科会の法制度小委員会が2024年3月に「AIと著作権に関する考え方について」を取りまとめ、文化庁のサイトで公開されています。この資料自体に法的な拘束力はないと明記されていますが、生成物が既存の著作物に似ているかどうかなどが論点として整理されています。原文と概要版は文化庁のサイトで読めるので、一度目を通しておくと、何が議論になっているのかがつかめます。
実務上、副業で避けたほうが無難なのは次のような使い方です。
- 特定の作家名や作品名をプロンプトに入れ、その作風に寄せた画像を作る
- 既存のキャラクター、ロゴ、商品パッケージに似た画像を販売・納品する
- 実在の人物に似せた画像を、本人の了承なく使う
- 他人の画像を読み込ませて、それを元に加工したものを自分の作品として売る
出来上がった画像は、公開前に画像検索サービスで似た画像がないかを確かめておくと安心材料になります。ただし、見つからなかったからといって問題がないと言い切れるわけではありません。あくまで確認の一つと考えてください。
もう一つ、生成AIの画像に著作権が認められるかどうかも、作り方によって判断が分かれるとされています。自分の作品として独占的に守りたい用途、たとえばロゴやキャラクターの制作を請け負う場合は、権利の扱いがあいまいになるリスクを依頼主に説明しておく必要があります。
迷ったときは、「この画像を元の作者や本人が見たら、どう感じるか」を自問してみてください。気まずさを感じるなら、その使い方は避けるのが賢明です。法律の判断とは別に、取引先や読者からの信頼を守るという意味でも、この感覚は役に立ちます。
会社員が副業で使うときの現実的な運用
最後に、本業との兼ね合いも含めた運用の話です。まず、会社のパソコンやアカウントで副業の画像を作るのはやめましょう。業務用の端末やツールの私的利用を禁じている会社もあり、思わぬところで就業規則に触れるおそれがあります。副業用の作業は、自分の端末と自分のアカウントで完結させます。
次に、作業の記録を残す習慣をつけます。使ったサービス名、プラン、日付、入力したプロンプト、生成後に自分で手を加えた内容。この5点を、1件につき1行でスプレッドシートに書いておくと、依頼主から作り方を聞かれたときにすぐ答えられます。記録をつけるのは1件1分ほどです。
費用面にも注意が必要です。有料プランの月額料金は、副業の売上がまだ少ない段階では負担になりがちです。最初は無料プランの範囲で、規約上の商用利用の条件を満たせるかを確かめ、必要になった時点で切り替えるほうが無駄がありません。経費として扱えるかどうかは、確定申告の際に税務署や税理士に確認してください。
AI画像は、うまく使えば作業時間を大きく減らせる道具です。ただ、権利まわりの確認を省くと、手間を減らしたつもりが後から大きな手間を生むことになりかねません。規約を読む、記録を残す、似せない。この3つを守ることが、副業で長く使い続けるための土台になります。