本業の経験を有料コンテンツにする企画術|「困った瞬間」の棚卸しから商品の一文を決めるまで

経理歴8年、営業事務歴5年。それだけの経験があっても、「売れるような知識なんて自分にはない」と感じる人は少なくありません。毎日当たり前にこなしている作業ほど、価値があるように見えないからです。

ただ、有料コンテンツの企画で大事なのは、珍しい知識よりも「誰かが今つまずいている場所を、自分はもう通り過ぎている」という事実です。この記事では、本業の経験をそのまま商品の種に変えるための考え方を、作業の順番に沿って紹介します。売れるかどうかは市場次第なので、ここで扱うのはあくまで「企画の精度を上げる方法」です。

経験の棚卸しは「困った瞬間」から掘る

いきなり「自分の強みは何か」と考えると、手が止まります。強みは抽象的すぎて、商品にならないからです。代わりに、過去3年の仕事を振り返り、「困った瞬間」を思い出せるだけ書き出してください。1件1行、20件を目標に、30分ほどかけます。

例として、こんな書き方で十分です。

  • 異動初日、前任者の引き継ぎ資料が3行しかなかった
  • 月次の請求書チェックで、毎回同じ確認漏れが起きていた
  • 後輩に見積書の作り方を説明したら、3回聞き直された
  • オンライン会議の議事録を、毎回1時間かけて清書していた

次に、それぞれの横に「今はどう解決しているか」を書きます。解決済みの行が、商品候補です。解決していない行は、今回は脇に置きます。

書き出すときのコツは、感情もいっしょにメモすることです。「焦った」「恥ずかしかった」「腹が立った」。強い感情が残っている場面ほど、同じ立場の人も強く困っている可能性があります。逆に、すぐ思い出せない程度の小さな手間は、お金を払ってまで解決したい悩みにはなりにくい傾向があります。

思い出せない場合は、過去のメールやチャット、手帳を見返すのが近道です。自分が誰かに質問したやり取りや、逆に何度も聞かれたことは、ほぼそのまま候補になります。

候補を3つの物差しで絞る

候補が10件ほど残ったら、次の3つの観点で〇×をつけます。

  1. 同じ悩みを持つ人が、社外にも多そうか(自社特有のルールでないか)
  2. 手順や型として、他人が再現できる形にできるか
  3. 社外秘や個人情報に触れずに説明できるか

3つとも〇がつくものだけを残します。特に3つ目は譲れません。業務で知った取引先名、社内の数値、独自システムの画面は、たとえ加工しても載せないほうが安全です。説明に必要なら、架空の会社と数字で例を作り直します。

1つ目の判断に迷ったら、Xやnote、Q&Aサイトで悩みの言葉そのものを検索してみてください。同じ言い回しの投稿がいくつも見つかれば、少なくとも「その悩みを持つ人がいる」ことは確かめられます。ただし、投稿が多いことと、お金を払う人が多いことは別の話です。

「誰の、何が、どう変わるか」を一文にする

残った候補から一つを選んだら、商品の中身を書く前に、次の型で一文を作ります。

「〇〇な人が、△△の場面で、□□できるようになる」

たとえば「初めて部下を持った30代が、週1回の1on1で、話題に詰まらず15分を使えるようになる」。この一文が具体的に書けないうちは、目次を作っても内容がぶれます。逆に、一文が決まれば、そこに関係しない話は思い切って削れます。経験が長い人ほど、あれもこれも入れたくなるので、この一文が重しになります。

形式もここで決めます。文章が向くもの、チェックリストやテンプレートのファイルを付けると便利なもの、図解のほうが伝わるもの。自分が当時ほしかった形を思い出すと、選びやすくなります。

小さく出して、反応で育てる

企画の段階で完璧を目指すと、いつまでも公開できません。おすすめは、有料にする前に、同じテーマの「さわり」を無料記事やSNSの投稿で一度出してみることです。保存や質問の数、どの部分に反応があったかを見ると、有料版で厚くすべき箇所が分かります。

もらった質問は、そのまま有料版の見出し候補になります。「この場合はどうするのか」という問いが3件集まったら、それは一章ぶんの需要があるかもしれない、くらいに考えておくと、期待しすぎずに済みます。質問への答えを考える過程で、自分でも言葉にできていなかったコツに気づくことがよくあります。

反応がほとんどない場合も、すぐにテーマを捨てる必要はありません。投稿の数が少なすぎて判断できないことも多いからです。同じテーマで切り口を変えた投稿を3回ほど試し、それでも反応が薄ければ、別の候補に移ると決めておくと、迷う時間を減らせます。

価格や販売先は、企画が固まってから決めても遅くありません。1本目の値付けと分量の決め方はこちらの記事で、販売先の選び方は別の記事でまとめています。

最後に、企画メモは1つのファイルにまとめておきましょう。「困った瞬間」の一覧、〇×の結果、一文の型。この3点が手元にあれば、今回選ばなかった候補も、次の商品の種として残ります。本業を続けている限り、困った瞬間は毎月のように増えていくはずです。

次に開くなら

入口がまだぼやけているときは、診断か順番からで十分です。上限や止め時なら停止判断・記録、ツールと用語集も横に置いてあります。

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